今や世界第2の経済大国となった中国。国民の生活が豊かになるにつれて、「旧正月は絶対に故郷に戻って家族と一緒に過ごす」という、昔ながらの価値観が変わろうとしています。
里帰りを恐れる若者たち
近年、中国で「旧正月に帰省したくない若者」が増加していることをご存じでしょうか。主な理由は2つ挙げられます。
ひとつは、金銭問題。出稼ぎ先の都会で高い家賃に苦しむ若者にとって、帰省のための旅費や肉親らへのお土産、紅包などは重い負担となっています。
もうひとつは、両親や親戚から結婚を急かされるプレッシャー。中国では今もなお「結婚してようやく一人前」という思想が根強く残っています。そのため、お金を払って彼女(彼氏)の振りをする「レンタル彼女(彼氏)」を連れて故郷に帰る選択をする若者も少なくないほどです。
2025年旧正月、日本は中国の海外旅行先1位に返り咲くか?
中国人の平均所得が年々増加するにともない、旧正月を海外で過ごす人も増えています。コロナ禍以前は、日本は旧正月休みの人気旅行地として圧倒的な人気でした。中国人による「爆買い」もよく話題になったものですね。
しかし、昨年(2024年)の旧正月は、福島処理水の海洋放出への反発により日本向けの団体ツアーが中止されたことで、日本はタイに渡航先人気ナンバーワンの座を受け渡すことになりました。では、旧正月の訪日中国人は今後減少していくのでしょうか?実はそんなことはありません。
日本政府観光局(JNTO)が発表した「2024年10月訪日外国人数(推計値)」によると、今年10月の中国からの訪日外客数は582,800人で、前年同月比127.3%増。今年1月~10月までの累計で見ても5,830,500人と、前年同期比214.4%も増加しています。
これは、日中路線が拡大していることや円安が影響していると考えられますが、注目すべきは、訪日中国人の日本の人気旅行先ランキングで、2024年「岐阜県」が初めて5位にランクインしたことです。
白川郷や犬山城など、今まで中国人観光客の足が向くことのなかった岐阜県の観光地が注目されはじめているのです。他にも、中国で人気がある日本のアニメの「聖地巡礼旅」なども人気になりつつあります。
今後、訪日中国人の人気の旅行先は東京・大阪などメジャーな都市から、彼らにとって未知の地域に広がっていくことでしょう。
また、このところ日中間のフライトが増便の一途をたどっており、それに伴いチケット価格もかなりリーズナブルになっています。
2025年の旧正月期間も、日本各地で中国語を耳にする機会が多くなることが予想されますね。
日本でも中国の旧正月気分を味わえる!
旧正月は日本の正月気分が抜けた頃にやってきます。日本にいながらにして、「2度目の正月気分」を味わう方法をご紹介します。
大みそかの晩、中国では「春節聯歓晩会」という年越し番組が放送されます。この番組は「春晩(チュンワン)」と呼ばれ、日本の紅白歌合戦に相当し、毎年の視聴率はなんと40%にもなる国民的番組です。
この番組はYouTubeで世界中に同時ライブ配信されますので、興味のある方は日本でもリアルタイムで視聴することが可能です。少数民族や漢族の歌や踊り、漫才やコントなど内容は盛りだくさん。もちろん、中国のトップスター達も番組に出演します。華やかな中国の正月気分を、この番組で味わってみてはいかがでしょうか。
また、横浜・神戸などの中華街のほか、名古屋など一部の都市では「旧正月のイベント」が開催されます。爆竹が鳴り響くなか、獅子舞が練り歩く様子を見物したり、屋台で珍しい中国スナックを食べ歩きしたりするのも楽しいですね。
まとめ
中国の旧正月は、その伝統を守りながら時代とともに変化しています。しかし日本人と同じく、中国人が正月を大切に思う気持ちに変わりはありません。
実は、2025年は「双春年」(シュワンチュンニェン)といって、旧暦の1年間に立春が2回ある年です。双春年の別名は「双喜年」(シュワンシーニェン)。その名の通り、喜びが2倍になる縁起の良い年とされているのです。
2025年が、日本と中国、そして私たち中国語学習者にとっての「双喜年」となりますように!