「元台湾駐在員」が考える、日台結婚の難しさ

福原愛さんがテレビ番組で「義理の母親と同じベットで寝ている」と話しているのを見て、一瞬「大丈夫かな?」と思ったことがありました。

日本で義母と同じベットで寝るなんて想像のつく人がいるでしょうか?でも、私はその時「さもありなん」と思ったのです。と言いますのは、私もかつて台湾に4年半滞在し「台湾では家族の絆が日本と比べられないほど強い」ことを知っていたからです。

 

私は台湾に「乾妈妈」がいました。「乾妈妈」というのは口約束でする契約のようなもので、約束した時点で親子のような関係を築くことです。春節、中秋節、誕生日、クリスマス、普段の週末・・・当たり前のように「乾妈妈」ファミリーと共に過ごすことが多くなりました。

「断る」という概念はありませんでした。だって契約とはいえ家族なのです。乾妈妈は実の娘のように私を可愛がってくれ、私も家族と楽しい時間を過ごしたのですが、今思えばそれは自分が数年で帰国すると知っていたから。生涯、そして仮に“嫁”として家族になっていたら・・・私にはこの強い結びつきに耐えられない日が来たのではないかと思うのです。

 

また、「他人をほっておけない」という台湾の人々の気質もあります。

雨が降って慌てて家に戻ると、大家さんに洗濯ものが取り込まれていたとか、帰宅が遅くなると管理人さんに「なぜ女の子の帰宅がこんなに遅いのか」と説教されたりとか、台湾ではこんなことが日常茶飯事なのです。ましてや「台北の人は冷たい」と発言するような台湾南部の高雄に嫁いだ福原さんは、スーパースターであるが故に更に苦しく、「一人になりたい」と思う日もあったかもしれません。

 

もちろん結婚生活に関しては当人同士しかわかりません。福原さんは家族関係に何の問題もなかったかもしれません。ですからこれは一般論として個人的な意見を述べているに過ぎないのですが。

 

それでも、「義母と同じベットで寝る」ほど強い絆で結ばれた家族関係は、日本人にとって幸せであると同時に、窮屈に感じることもあったかもしれない、と想像してしまうのです。

国際結婚は乗り越えなければいけない壁がたくさんあります。その一つが、中華圏の家族の強すぎる絆ではないか、と私は思うのです。