皆さんはニュースなどで「旧正月」というワードを耳にしたことはありませんか?中国・シンガポール・ベトナムなどアジアには旧正月を祝う国が多く、お隣の国である中国も「旧正月」を採用しています。
日本の正月と中国の旧正月、どちらも新年を祝う行事であることに変わりはありません。しかし、実は様々な違いがあります。知っているようであまり知らない中国の旧正月、日本の正月とどんな違いがあるのでしょうか。
本記事では、中国の旧正月に焦点を当て、旧正月についての知識、人々の元旦の過ごし方、変わりゆく旧正月の姿についてご紹介していきます。
そもそも、旧正月とは?
旧正月とは“旧暦”の1月1日を指す、中国人にとって1年で最も大事なイベントです。まずは、旧正月の元旦の日付が毎年変わる理由と、中国の干支、そして中国の旧正月に欠かせないワード「春運」(チュンウン)についてご紹介します。
中国の「元旦」が毎年変わる理由
日本のお正月よりなぜか1月ほど遅れてやってくる旧正月。しかも、旧正月の日付は毎年変わります。たとえば 、昨年(2024年)の元旦は2月20日、今年(2025年)の元旦は1月29日。このように、元旦はその年によって1ヶ月~1ヶ月半ほどのズレが生じます。
なぜこのようなズレが生じるのでしょうか?それは、日本が新暦の1月1日を元旦としているのに対し、旧正月を祝う国では旧暦の1月1日を元旦に制定しているからです。
日ごろ、私たちが使用している新暦と旧暦は、日にちの換算方法が異なります。そのため、新暦の1月1日を旧暦に当てはめると、毎年違う日にちになるのです。
中国にも「十二支」はあるの?
中国には日本と同じように十二支が存在します。旧正月が近づくと、中国は十二支をかたどった吉祥物(縁起の良いマスコット)で溢れかえります。中国の十二支は、「鼠・牛・虎・兎・竜・蛇・馬・羊・猿・鶏・犬・猪」。
日本となにかが違うことにお気づきでしょうか?実は、中国には「亥」(イノシシ)年のかわりに「猪」(ブタ)年 があるのです!
「ブタ年生まれなんて…」と思う方がいるかもしれませんが、中国では豚はとても縁起の良いものとされており、ブタをかたどったマスコットやチャームは若い女性の間でとても人気があります。
また、中国で十二支にこだわる人が多いのは、「生まれてくる子供の干支でその子の運命が決まり、親の運命も左右する」と信じている人が多いからです。2025年は蛇年(巳年)。蛇年生まれの子供は賢く、機転が利くといわれています。
民族大移動「春運」とは?
「春運(チュンウン)」とは、旧正月前後の故郷へのuターンラッシュ、国内外に旅行する人の数が急激に膨れ上がる現象を指す言葉です。中国では旧正月期間に学校や会社が1週間程度の休暇になるため、このような”民族大移動” が起こります。
中国政府は毎年、旧正月の前後40日間を「春運期間」と定め、鉄道・航空会社の増便などに「特別輸送態勢」を敷いて、この“民族大移動”に対応します。
中国交通運輸部の発表によると、2024年の「春運」は1月26日から3月5日までの40日間、地域をまたいで移動した人数はなんと、延べ84億人以上に達しました。
政府発表による2023年末時点の中国の人口は14億967万人ですので、この「春運」の数字がいかに驚異的かがわかりますね。