とつぜん降ってわいた夫の中国駐在。悩んだ末、帯同すると決めて中国に来たものの、周りの人の話す言葉が聞き取れない。しかし、スマホには翻訳機能が付いている。
夫の任期はわずか3年だけど、中国語って勉強したほうがいいの・・・?
こんな風に悩んでいる駐在妻さんがいらっしゃると思います。スマホの翻訳アプリがあれば中国語なんて要らない…?でも、それって本当でしょうか?
この記事では、駐在妻は中国語を学ぶべきか・中国語を学ぶメリット・どんなふうに勉強するか等について、筆者の体験も交えて考えてみたいと思います。
筆者はこれまで台北・広州・長春・上海で16年にわたる帯同生活を送りました。最初はまったく中国語ができず、“对不起,听不懂”(Duì bù qǐ, tīng bù dǒng/すみません、聞き取れません)とオウム返しする毎日でしたが、中国語を学ぶにつれ少しずつですが聞き取れるようになり、色々なかけがえのない経験をすることができました。
これを読めば、あなたも「中国語の勉強をやってみようかな?」と思う…かも?
1. 翻訳機だけでは不安な理由
今時のスマホの翻訳機能ってスゴイですよね。買い物も日常トラブルも、これがあれば乗り切れる気がします。
しかし、スマホ翻訳機能だけに頼って中国語を放棄してもいいのでしょうか?
1-1.翻訳機能がトラブルにつながることも…
先日、大阪万博で日本人レポーターが翻訳機を使って来場中の中国人観光客に行ったインタビューが話題になりました。翻訳機は、レポーターの「何かすごいものを見ましたか」という質問を、『有什么了不起的』(yǒu shénme liǎobùqǐ de)と訳したのです。
『有什么了不起』とは、「なにかすごいって言うのさ!(たいしたことないでしょ?)」という意味。突然そんなことを言われた中国人はさぞかし戸惑ったことでしょうね。このように、翻訳機能を信頼しすぎると思わぬトラブルに繋がることもあるのです。
1-2.世間話に、翻訳アプリは間に合わない
中国人は通常とてもフレンドリーで、知らない人に気さくに話しかけてきます。エレベーター内で、バスの中でさりげなく会話を交わすのに、いちいち翻訳機を使うのは現実的ではありません。せっかく現地の人と交流できるチャンスを逃すのは惜しいと思いませんか?
1-3.中国語がわかると、自分と家族を守ることができる
駐在中にケガや病気で病院にかかる場合、通訳が付き添ってくれることが多いですが、「私の言いたいことや症状、ちゃんと訳してくれているかな?」と不安になるものです(心が弱っていると、特にそうなります)。
たとえすべての会話が聞き取れなくても、中国語に慣れてくると“なんとなく”相手の話しているニュアンスが理解できるようになるものです。危険な界隈に入り込んでしまって不安な時も、中国語がわかると自分や家族を危険から守ることができます。
1-4.HSKを受験して帰国後の再就職に備えたい
HSK(中国国家が認定する国際的な中国語の検定試験)は1級~6級まであり、HSK公式サイトによると、いちばん易しい1級を受験する学習の目安は「大学の第二外国語における第一年度前期履修程度の学習」と記載されています。
つまり、50時間ほど中国語を勉強すれば、1級に合格する実力が身につくのです。帰国後の再就職のために、履歴書に書ける資格をひとつ増やしてみるのも良いと思います。
これらのことを鑑みて、私は、駐在妻さんも中国語を学習したほうが良い、と思っています。では、現地で中国語を学ぶ方法、そのメリット・デメリットについてご紹介します。