
私たちをドキドキハラハラさせてくれた「FIFA2026年ワールドカップ」は、ついにスペインの優勝で幕を閉じました。今回、中国代表は出場していなかったにもかかわらず、中国で“社会現象”と呼べるほど人気を集めている選手がいることをご存じでしょうか。
それは、ノルウェー代表のアーリング・ハーランド選手(埃尔林·哈兰德/Āi ěr lín · Hā lán dé)です。今や中国メディアやSNSで彼の名前を見ない日はないほどの大フィーバーぶりなのです。ハーランドを讃える歌がヒットし、ウィチャットのスタンプが流行し、ついに中国を代表する涼茶ブランド「王老吉」(Wáng Lǎojí)のCMにまで登場しました。
ハーランド選手が6月に開設した抖音(Dǒuyīn/TikTok)のフォロワー数はすでに580万人を突破し、微博のフォロワーも急速に増えています。なぜハーランド選手は中国で「ヒーロー」になったのでしょうか。その魅力に迫ってみます。
目次
- ハーランド選手とは?
- 「魔人」と「ベイビー」。「反差」で中国人のハートをわしづかみに
- ハーランドのもたらす驚くべき経済効果。中国で〇〇〇が爆売れ!
- 中国カルチャーとハーランドは相性抜群だった
- 洗脳曲「ハーランドの歌」(中国語版)
- まとめ
- ハーランド選手とは?

ハーランド(アーリング・ハーランド)は2000年、イングランドで生まれたノルウェーのサッカー選手です。2020年から2年半、ドイツのドルトムントでプレーした後、イングランドへ移籍して活躍を重ねました。ノルウェー代表のエースとして、すでに歴代最多得点を記録しているストライカーです。
- 「魔人」と「ベイビー」。「反差」で中国人のハートをわしづかみに

ハーランドは試合中、派手なテクニックを見せることはありません。むしろ、その巨体で敵やボールに体当たりしてゴールを奪いに行く「分かりやすい」プレースタイルが持ち味。そしてなんといっても、ゴールを決めた後に見せる力強い表情や咆哮には、かなりのインパクトがあります。
そんな彼についた愛称は「魔人布欧」(Mórén Bùō)でした。日本のアニメ「ドラゴンボール」に登場する「魔人ブー」です!そういえば、どことなく似ているような気もしますよね(笑)。
「魔人」と聞くと怖い印象を持つかもしれませんが、グラウンドを離れた彼は大変フレンドリーで親切でおちゃめな性格。そのため、もうひとつの愛称「哈宝(Hā Bǎo/ハーランドベイビー)」が生まれました。中国で彼がどれほど愛されているかが分かる名前ですね。
試合では「魔人」、日常では「ベイビー」。ハーランドが語られる時、中国ではよく「反差」という言葉が登場します。「反差」(fǎn chā)とは「ギャップ」のこと。このギャップこそ、中国人ファンを魅了しているのです。
Click here to change this text
3.ハーランドのもたらす驚くべき経済効果。中国で〇〇〇が爆売れ!

中国でのハーランド人気のすごさを示す、ひとつのエピソードがあります。それは、彼の人気によって中国で「ノルウェーサーモン」が爆売れしていることです。
ワールドカップ開幕前から、ノルウェー水産物審議会は中国でのハーランド人気に目をつけ、彼を起用した大規模なプロモーションを展開しました。その結果、今年6月の中国向けノルウェー産サーモン輸出量は前年比31%増にもなったのだそうです。
また、ハーランドが髪を束ねるときに使う「ヘアゴム」までもが爆売れしているというから驚きです。「ハーランド効果、恐るべし」ですね。
- 中国カルチャーとハーランドは相性抜群だった

中国人はなぜ、出場しなかったワールドカップで、北欧出身のハーランドにこんなに熱狂しているのでしょうか。スタジアム内と外、両方にその理由があります。
まず、彼のプレースタイルが「実力こそがすべて」という中国の伝統的な価値観にぴったりマッチしました。派手なプレーを見せびらかすことなく、ひたすらゴールを狙う。そんな「結果で語る」スタイルが中国人の心を掴んだのです。
さらに、彼は5歳の頃から地元のチャイナレストランに通い詰めていました。お気に入りは「烤鸭(kǎo yā/北京ダック)と「甘酢鸡(gān cù jī/スウィートサワーチキン)」だったそうです。その店で宿題をし、仲間と食卓を囲んで育った彼は、中国文化を自然に吸収していきました。
ファンが付けた愛称「哈宝」を喜んで受け入れ、中国SNSで流行した「重慶の列車を飲み込む」ユーモア写真を自らも投稿し、中国人が作詞した応援歌を「神曲」と絶賛するなど、中国文化をとても理解しています。
卓球の福原愛さんを思い出してみてください。中国人は、自国の言葉を覚えようとしたり、文化を理解しようとする外国人に対して、とても好意的な国民です。ハーランドのこのような姿勢も、中国における人気に火をつけた大きな要因と言えるでしょう。
- みんなで歌おう 神曲「ハーランドの歌」

中国で大ヒット中、「哈兰德之歌」(ハーランドの歌)をご紹介します。原曲は1979年に発表された「めざせモスクワ」という楽曲ですが、今年のワールドカップで再び世界的に火がつきました。今、日本のiTunesダンスソングチャートでも1位を獲得していますので、耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか?
<中文翻唱版>
现在他就是我们的超人 いま彼こそ僕らのスーパーマン
一个能疯狂进球的挪威人 クレイジーなゴールシュートを決めるノルウェー人
现在他就是我们的超人 いま彼こそ僕らのスーパーマン
让我们在这疯狂的夜晚高唱他的名字 このクレイジーな夜に 彼の名を高らかに歌おう
一起唱~ さあ一緒に
哈兰德,哈兰德 ハーランド ハーランド
像他父亲一样身穿蓝色 彼は父親と同じ青いユニフォームを身に纏い
现在他就在伊蒂哈德球场 いまエディハトスタジアムにいる
哈~哈~哈~哈兰德
他从德国联赛来 彼はドイツリーグから来た
到这是为了赢得冠军联赛 チャンピオンズリーグで優勝するために
この曲は、力強いリズムと繰り返される独特なフレーズで中国SNSで爆発的に広まりました。まさに一度聞くと忘れられない「洗脳曲」ですね!
6.まとめ
ハーランドは、圧倒的な実力とおちゃめな性格という「反差」で、中国ファンを魅了した彼は、遠く離れた地である中国でもヒーローになりました。
また、ハーランドの人気から、中国の人々の「楽しい事を見つけてきて、それを前向きに楽しむ」逞しいバイタリティをも感じずにはいられません!